田口淳之介さん脱退から考えるアイドルの終わり
KAT-TUNの田口淳之介さんがグループの脱退及び事務所の退所を発表した。
私の青春時代、KAT-TUNはトップアイドルだった。
私の周りの友人は、KAT-TUNのファンの子が多かったので、それはもうたくさんの雑誌の切り抜きを見せられた。
ごくせん、華々しいデビュー、リップクリームのCM。
ほとんど興味が無い私だって、テレビをつければ彼らの姿を見ない日は無かった。
でも、グループはどんどん姿を変えていった。
メンバーが減り、心ない言葉や好奇の目の中でそれでも頑張っている事を聞いていた。
それでも田口淳之介さんはグループを去る決断をした。
この事を聞き私が考えたのは、
「アイドルの終わり」
という事だ。
それを見ながら私は、
「男性アイドルはずっと永遠にアイドルでいられる幸運と不幸があるな」
「木村拓哉さんは死ぬまでキムタクでいる運命と呪縛の中で生きてるんだな」
と思っていた。
それは、ファンにとってもメンバーにとっても幸運でも不幸でもあると思う。
そして、女アイドルのファンの私にとっても、生涯アイドルでいられうる男性アイドルは羨ましくも怖くもあるのだ。
女アイドルには「賞味期限」がある。
賞味期限という言葉を使うのはあまり好きではないが、あえてこの言葉を使いたい。
女アイドルは、いつか卒業しファンの前を去る日が来る。
私たちはそれを知っているから、彼女達がアイドルとして過ごす「今」という限られた時間を必死で追う。
女アイドルに「次」なんて来ないかもしれないのだ。
Berryz工房は今年の3月から無期限活動休止した。
Berryz工房だっていつか必ず終わる日がくると分かっていたけれど、それでも心の何処かでずっと続くのではと思いたかった自分がいた。
それでもBerryz工房だって例外ではなく、私たちの前から去っていった。
女アイドルは必ず私たちの前からいなくなるんだと改めて実感した。
鞘師さんのモーニング娘。卒業もあり、私は今しかない女アイドルの儚さと、期限が限られているからこそ輝く尊さを知った。
だから、℃-uteの秋ツアーは無理しても沢山行った。
本当に℃-uteが好きで、このツアーが好きで、それでももしかしたら次なんて来ないかもしれないと思ったらどうしても行きたかった。
女アイドルはいつか終わる。
彼女達はいつか必ず終わる日が来てファンの前を去る。
だからこそ、その限られた日の中で輝くのかもしれない。
男性アイドルは、ずっとアイドルでいられる。
そして、アイドルでなくなる日が来るとしたらそれは自分でずっと続くはずの未来を断ち切らなければならないのだ。
怖いと思った。
でも羨ましくもあった。
ずっとアイドルでいられるという呪縛の中で、アイドルを続けることも辞めることも大きな勇気がいる。
どちらを選ぶことも強いことだと思った。
アイドルとして生き続ける勇気も、自分で終わる日を決める勇気も、女アイドルの強さとは違う強さが必要だと思った。
そしてそれを受け止めるファンの強さも。
女アイドルもそうだけど、ファンが出来ることは受け止める事と応援する事だけだ。
反対する事も、考え直してくれという事も出来ない。
彼女、彼らの決断を信じることしか出来ない。
男性アイドルの終わりを選ぶ勇気を信じるファンの勇気もとても強いものだと感じた。
それは苦しい事だと思う。
納得の出来ない物かもしれない。
それでも信じるしかないんだ。
女アイドルだって同じだけれど、好きな人が選んだ未来が好きな人にとって一番いい未来のための決断と信じるしかない。
私は今日も、女アイドルの「今」を必死で追う。
もうこれが最後かもしれないという不安と、今を輝いている彼女達の輝きが見たいという楽しみがあるから毎日アイドルを追う。
Berryz工房の「サンクユーベリーベリー」のこの歌詞を聴く度、いつか来る女アイドルの終わりを思い出す。
「大好きな人がいて今日もニコニコしてる。それは当たり前の事じゃなかった」
「永遠と思っていた時間永遠じゃないから」
そして自分で去る日を決断した田口淳之介さんの勇気とそれを受け止めなければならないファンの強さを、女アイドルのファンの片隅から心から尊敬している。